始まりは一通のメールから
始まりは清水の舞台から飛び降りる想いで書いた、一通のメールからでした。
ほとんどのご著書を読ませていただいていた、黒川伊保子さんに無謀にも「お目にかかれないでしょうか…」とお伺いしてみたのでした。
お返事には「SHIMAさんとのランチにご一緒しませんか?」と書かれてありました!伊保子先生のご著書に、何度も登場される「あの方」?!ホームページを拝見していて「いつかは、必ず!このSHIMAスーツを創っていただける自分になろう!」と密かな励みにしていた「あの方」?!まさに、天にも昇る想いで、当日を迎えました。
憧れの、尊敬して止まないお二人の女性を前にして、緊張しつつも楽しいひと時が過ぎて行きました。
いつか・・では、永遠に前に進めない
伊保子先生とスタッフの方、志摩さんのお客様がお席を立たれたそのとき、ここまで来たのだから、思い切って!と、志摩さんに「私も、40になって、もう少し仕事が軌道に乗ったら、是非SHIMAスーツを創っていただきたいと想っておりました」とお伝えしました。
すると、きちんとこちらを向き直ってくださり、「いつか・・といっている人は、結局創りません。いつか・・では、永遠に前に進めないのです、<今>決めないと」とまっすぐに伝えてくださいました。(このお言葉は、人生の指針として、深く胸に刻んであります)実はこのとき、SHIMAスーツをお願い出来るものならばしたい・・という、覚悟はありました。が、私のようなまだ名もない若輩者が、おこがましい・・とも想っていました。
「お支払いのことは、ご無理の無い様にして下されば良いのです」と、それよりも、新たな一歩を踏み出すことに背中を押してくださった志摩さんのお言葉に勇気を頂き、その場でご依頼をさせていただき、その日に採寸…と言う流れになりました!!
採寸までの数時間、たくさんのお話をさせていただきました。その中で、志摩さんのお人柄・お仕事に対する哲学に触れ、その魅力にすっかり惚れ込んでしまいました。
1着目のSHIMAは「春色」
アトリエでは、志摩さんがその方に・・と想われる生地を数種類ご用意してくださいます。その中で、自分が好きな生地に決められるのです。
どれも「素敵!」という生地をご用意してくださる中、たしか4番目だったと想います、その「春色」はありました。様々な魅力的な色を持つお花を扱う中で、もっとも好きな色目と同じ、柔らかく、やさしい淡いオレンジ色の、ツイードの生地でした。目が釘づけになると同時に(さすがにこれは無理でしょう…)という心の声も聞こえてきました。それを正直に話すと、「大丈夫」と太鼓判を押してくださり、1着目のSHIMAは「春色」に決まりました。
その春色の生地を当てて、鏡を覗くと、そこには「目指していた自分」が映っていました!
花職人として、プロとしての、信念と誇り・・それに伴わない「現実」その狭間で、時に折れそうになる心を奮い立たせ、必死で歩いてきた年月・・お花を取り巻く世界に、憤りを感じつつも、圧倒的に力がなく、何も出来ない自分に対する、歯がゆさ・・そんな中で、かすかに見え始めた、荒野の中の「一筋の光」・・その「光」に向って走るために、大きな力を与えてくれる…!「春色」のSHIMAになるその生地を当てた、鏡の中を見て、そう確信しました。
「纏う覚悟」を問われるSHIMAのスーツ
SHIMAの凄さは、身に纏う前から始まっていました。「お仕立てのスーツ」の生地を決めた段階から、大きく何かがうねり出すのです。一番好きな「春色」のSHIMAが来てくれる!と言うことではしゃいでいたのも束の間・・次第にプレッシャーのようなものを感じるようになってきました。一流の方が身に纏うSHIMA・・果たして自分がそこまで行けるのだろうか?…と言うよりも、「本物」になる「覚悟」は、出来ているのか?!を、問われているような感覚でした。
実際に…待ちに待っていたはずのSHIMAが思いのほか早く届けられた時、すぐに箱を開けて、迎え入れました。想像を超える仕上がりに、「職人」として感激し、嬉しくて小躍りしていました。しかし!!あんなに楽しみにしていたのに、「着れない」…。
畏怖の念とでも言うのでしょうか…?片袖を通すまでは出来ても、身に纏うことが出来ないのです!
「纏う覚悟」を問われている…そう感じました。いつかは、そんな自分になりたい!という覚悟はあったものの、あまりの急展開に、ついて行けずにいる自分がそこにはいました。今纏うにふさわしい自分である必要はない、しかし、その「覚悟」・・凛として、荒野を走る女性になることを、自分に、SHIMAに誓えるのか?!そう、問われているようでした。
3日後…覚悟を決めて、初めて身に纏った時、ゆっくりと、じんわりと自分の細胞の隅々までもSHIMAの波動に包まれました。そして、自分の中からも、深い眠りについていた「何か」が目覚めたのがわかりました。ふと、目を上げると鏡の中に生まれ変わった私が、恥ずかしそうに、そこに存在していました。
SHIMAの魔法に包まれながら
SHIMAの魔法に包まれて、仕事をさせていただいた時、本当に驚きました。日頃から、花職人として、自分をどう見せるかではなく、お相手に、お客様に失礼のないように…と、スーツで仕事をしています。(マニッシュなパンツスーツです)「作業」的な部分が多くなる、お花の仕事…スーツでは当然動きにくいのですが、そこはプロとして、こなしていました。
これほどエレガントで、上質なSHIMA・・「作業」をしていても、全く気にならないのです!!志摩さんから、お話には伺っていましたが、本当に、これほど動きやすいとは…!!そして、ビジネスの場で活躍する女性たちを知り尽くしていらっしゃる!と感動したのは、もちろんすべてなのですが・・実は、ポケットでした。現代の必需品、携帯電話が、縦横すっぽりと美しく入るのです!さすがだ…と、脱帽でした。
それと同時に、志摩さんからの「頑張ってね…応援していますよ」という想いに包まれているようでした。お花の仕事だからでしょうか?ボタンにはとても可憐なお花をあしらったものが付けられていました。同じ(と言うのは、あまりにもおこがましいのですが・・)創り手として、これほどの「想い」を、作品に乗せられる、志摩さんの技・感性・そして生き方に、魂が震えました。
あの、黒川伊保子さんをして、「シャネルが20世紀の職業婦人を助けてくれたように、21世紀のエグゼクティブ・ウーマンの身方!(しかも、21世紀の幅広いキャリアシーンに対応してくれるのだから、シャネルの何倍も天才です!)」と言わしめる志摩さんだけあります。
SHIMAが来てくれる事になったと同時期に、ありえないほどの大きなお仕事が舞い込んできました。そこは、経験や資格が問われるような世界…「独学」に近く、自らの感性を頼りに生きてきた私には、荷が重いお仕事でもありました。案の定、現場の方からは、「こんな小娘に(と言うほど若くはないのですけれど・・実のところ)何ができるんだ?!」という冷ややかな目線や言葉を投げかけられました。しょげ返る私に、ふとSHIMAが囁いてくれたようでした「出番だよ!」と。
次の機会、SHIMAの力を借りて、現場に出向くと…冷ややかな態度で私に接していた人達が「どちら様ですか??」と言うほどに態度が変わり、丁重に扱ってくださいました(?!)心の中では「おぉ!!これが世に言う<SHIMAの魔法>かぁ!と、ニマニマしていたのは、言うまでもありません。
まだ、ほとんど実績のない私が、これを書かせていただけること自体が「SHIMAの魔法」以外の何物でもありません。ありがとうございます。
ある意味、当たり前だとは想いますが、SHIMAを纏う時、上質な人とのつながりが紡げます。一流の方に目を留めていただけます。SHIMAが側にあってくれる限り、わたしは荒野を走り続けられるでしょう…そして、いつの日にか、自らも、一流になれるように、精進し続けます。
SHIMAの魔法に包まれながら…SHIMAに恥じない生き方を!!
http://hanatumugi.com/
幸せつむぎ 愛つむぎ
優しい想いを 優しい流れを 紡いでゆきたい・・・
「花職人」 渡邉道子